【 Waxy Journal No.5 “Northumbria”】 | British wax-jacket market

【 Waxy Journal No.5 “Northumbria”】

11月に入り、特に朝晩などはだいぶ冷え込む季節になってきました。

そこで今回の「Waxy Journal」では Barbour の銘品であり、唯一の極寒地仕様モデルである「 ノーザンブリア(Northumbria)」の魅力に迫ります。
着るか着ないかに関わらず、バブアーラバーとして知っておきたい魅力満載のディテールをピックアップしました。

Barbour Nothumbria “Sage” 1986年製 ¥99,000(In TAX)

 
重厚な面構えはBarbourの数あるモデルの中でも随一(左)
活動着として機能性の高いポケットも魅力(右)

その最大の特徴は、やっぱりヘビーウエイトな 8oz のワックスコットンによる重厚感たっぷりでクラシカルな見た目でしょう。

ビデイルやゲームフェアなど、ミドルウエイト(6oz)の生地では感じられないようなモチモチ感はたまりません。しっかりワックスを含んでいると重厚感はさながら鎧のような印象さえありますね。

他モデルよりも大きく、底が広がったひょうたんのような形になっているフラップポケットや、両サイドの内ポケットなど収納性も高く、幅広いアウトドアシーンでの着用を想定した工夫が随所に施されているのも魅力的です。

ポケットは本当に大きいので、スマホに財布に本にタブレットに……と詰め込んで手ぶらで出かけることだってできちゃいます(笑)

また、厳しい寒さに重ね着することなく耐えられるようにと設計されたノーザンブリアはバブアーの数あるモデルのなかでも唯一無二の仕様を搭載している点も忘れてはいけません。

 

通常はコットンのライニングが使用されますが、ノーザンブリアにはマッキノンハンティング(Mackinnon Hunting)と呼ばれるウール混紡のライニングが使われています。

ウールは保温性が高く、まるで毛布に包まれているような暖かさを堪能することができます。

また、イギリスにおいてチェック柄というのは家や氏族(クラン)など自らのルーツや所属などを表す非常に重要かつ奥が深いもの。

たとえばブラックウォッチがハイランド地方の歩兵部隊、通称 “黒い見張り番” にルーツを持つアーミー・タータンだったり……

バブアーとも縁の深いドレスゴードンはゴードン家のタータンのドレスバージョンですが、19世紀ごろから広まったディナー時に正装をするという文化のなか、社交界に参加する女性たちがドレスを仕立てる際に人気を博したなんて歴史があったり……

タータンのあれやこれやで一晩は話せそうです……と余談はさておき。

推定ですが、このマッキノンハンティングはクランタータンと呼ばれるものの一種で、マッキノン家を表すチェックのようです。

また厳密に言うと違うのですが、スコットランド軍のパレードパンツのタータンにも似たカラーリングはクラシックファッション好きにはたまらないディテールではないかと思います。

さりげない部分まで抜かりなく、英国のムードを漂わせる粋なモデルです。

そんなノーザンブリアの誕生は1979年まで遡ることができます。

翌年になると同パターンで6ozに軽量化されたミドルレンジの定番モデル「Border(ボーダー)」が誕生します。

ボーダーとは表裏の生地が違うだけで設計は同じなのですが、厚みや素材が異なるとシルエットの出方も大きく変わります。
ボーダーを持っている方も、ぜひ試してほしいですね。

そして85年がノーザンブリアの転換期

それまでラスティックというカラーで作られていましたが、よく知られるセージへと製造カラーが切り替わっていきます。

ノーザンブリアのオールドタイプとも言えるラスティックですが、これがまた渋くて素敵なんです。

Barbour Northumbria “Rustic” 1985年製 ¥108,900(In TAX)

錆びたような赤みのあるブラウンは、他のブランドであまり見ないバブアーらしいカラーの1つと言えるでしょう。

ワックスが乗っている状態ではかなり黒寄りの深い色ですが、ワックスが抜けると独特の赤みが出てきます。

コードバンの#8なんかが経年変化や色味など、近しいイメージかもしれません。

そんな “育てる” 楽しみ方もできます。

また、裏地にもラスティックのノーザンブリアならではのディテールが。

 
81年まで(左)と81年以降(右)
滑らかな質感からより温もりを感じる毛布のような生地へ。

肌触りから推測するとウールとポリエステルの混紡率が変わったような気もしますが、こちらはちょっと定かではありません。

ただディテールのこんな違いを楽しめるのもビンテージの醍醐味と言えると思います。

ノーザンブリアは1度廃盤になり、現在は復刻されています。

しかしマッキノンハンティングのライニングや、肉厚なワックスコットンの経年変化の迫力はやっぱりビンテージならでは。

ぜひお手に取って、あるいは身に纏って、バブアーの歴史の一端を肌でいただければと思います。

(文、写真:ウメザワマサユキ)

■ONLINE SHOP 掲載商品

 
Barbour Northumbria sage 3crest c42 @1990 e458c


【YKK bar zip】Barbour Northumbria rustic 1crest c46 @1981 e762c 

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